インタビュー / SUPPORTER
「12人目の選手」を、
いくらでも増やせる
取材・文:フェイスペイントジャーナル編集部
要旨 2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会で、顔一面の日の丸ペイントで国際中継や海外メディアに登場したサポーターのTOMさん。102か国を旅した実業家でもある彼は、フェイスペイントを「観戦を応援に変えるスイッチ」だと言います。ロシア大会の後に話を聞きました(2019年1月掲載の記事を再構成)。
プロフィール
1986年生まれ。19歳から旅を始め、102か国を巡る。楽天を経て、2015年にイベントとプロモーションの企画会社 Holiday Jack株式会社を設立。ワールドカップは2002年、2006年、2014年、2018年の4大会を現地で応援しています。
きっかけは、旅の資金づくり
2014年のブラジル大会。長い旅の途中で資金が苦しく、物価も高騰していました。そこで始めたのが、スタジアムの横で各国のサポーターに描くフェイスペイントのサービスです。自分が広告塔になろうと顔一面に日の丸を描いたところ、資金だけでなく、多くのサポーターやメディアの注目を集めました。
現場の苦労
「海外では水の調達が難しい。手に入っても、安全かどうか分からない。肌に塗るものなので、感染症も気になります」。描いた後の手を洗う場所、乾くとひび割れてはがれ落ちること、汗やスコールで流れること、服についた色が取れないこと。苦労は尽きなかったといいます。画材を変えてからは、「水を使わないので道具がほぼいらない。準備が簡単で、ペロッとはがせて、手も毎回洗わなくていい」。
1,000人の仲間
ロシア大会でいちばん伝えたかったことは、日本を応援する仲間を「たぶん1,000人以上」増やせたことだといいます。「アウェーでは日本のサポーターは少ない。でも現地の来場者に日本のペイントをしまくれば、応援席に12人目の選手をいくらでも増やせるんです」。日の丸は指2本で描けます。人気は日の丸、男性には「必勝」、女性には「JAPAN」でした。
フェイスペイントは、スポーツの見方を変えてくれたもの。「観戦」から「応援」に変わった気がしています。
編集部の視点
応援は、人数がものをいう世界です。フェイスペイントは、もともと日本を応援していなかった人を、その場で仲間に変える「勧誘の道具」になりました。それを可能にしているのは、だれでも分かる象徴(国旗)と、数秒で描ける速さです。
転用するなら
- もともとファンではない人を、その場で仲間にする仕掛けがあるか
- だれでも数秒で描ける、シンプルな象徴(色・旗・一文字)を持っているか
- 来場者自身が、次の人を巻き込む側に回れる設計か