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2019ラグビーワールドカップ日本決勝大会でのフェイスペイントの功績

  • 3月30日
  • 読了時間: 7分
顔に国旗を纏い、世界と繋がった15日間
顔に国旗を纏い、世界と繋がった15日間

ラグビー史上においても伝説となった日本で行われた「ラグビーワールドカップ2019」、決勝トーナメント8試合の会場で展開されたフェイスペイントブースは、のべ12,000人以上の来場者を笑顔に変えた。日本発の画材と、1,000人のボランティアが生んだ「応援の文化」の全記録をご紹介。



2019年10月19日から11月2日——ラグビーワールドカップ日本大会の決勝トーナメント期間中、東京・横浜・大分の3会場スタジアム周辺に、ひとつの特別なブースが設けられていた。「Face paint フェイスペイント」と記された白いテントには、試合開始前から長蛇の列ができ、世界中から訪れたラグビーファンたちが順番を待った。


このブースを企画・運営したのは、フェイスペイント事業を手がける株式会社プール(東京都、MIRACLE PAINT)。同社は、組織委員会の公式ブースとして、8試合全ての会場でフェイスペイントサービスを提供。来場者合計12,211人と、約1,000人のボランティアスタッフへの施術をやり遂げた。



掲げたコンセプトは、

「応援する文化」を『レガシー』にしよう。

メイドインジャパン/オールジャパンで世界をおもてなししよう。



試合ごとの来場者記録

8試合・3会場にわたる実施の内訳は以下の通りだ。1試合あたりの平均施術数は約1,526人。最多は11月1日の東京会場(ウェールズvsニュージーランド)で2,027人に達した。最少は初日の大分会場(イングランドvsオーストラリア)の546人だが、これは後述する運営オペレーションの改善が進む前の段階であり、数字を単純比較することはできない。

日程

会場

カード

施術数

10月19日

大分

イングランド vs オーストラリア

546

10月19日

東京

ニュージーランド vs アイルランド

1,808

10月20日

大分

ウェールズ vs フランス

1,745

10月20日

東京

日本 vs 南アフリカ

1,209

10月26日

横浜

イングランド vs ニュージーランド

1,412

10月27日

横浜

ウェールズ vs 南アフリカ

1,532

11月1日

東京

ウェールズ vs ニュージーランド

2,027

11月2日

横浜

イングランド vs 南アフリカ(決勝)

1,932

TOTAL(ボランティアスタッフ約1,000人を除く)

12,211



画材の革新——「ミラクルペイント」という選択

大規模なスポーツイベントでフェイスペイントを展開するにあたり、最大の課題となるのが衛生管理と施術スピードの両立だ。今回のオペレーションで株式会社プールが採用したのは、自社ブランドの専用画材「ミラクルペイント」だった。


この画材の特徴は大きく三つある。第一に、水を一切使用せずに衛生管理が行える設計であること。一般的なフェイスペイント用塗料は水で溶いて使用するため、使用済みの水の管理や容器の洗浄が発生する。ミラクルペイントはその工程を省き、不特定多数が来場するイベント環境での衛生リスクを低減した。

第二に、指だけで描けること。ブラシや筆といった専門道具を必要とせず、道具の管理・洗浄の手間を大幅に削減。絵を描く技術を持たないボランティアでも、短いレクチャーで施術に参加できる体制を可能にした。


第三に、土に還る環境素材であること。「他の配布物はゴミになるけど、これならいいね」という来場者の声は、サステナビリティへの関心が高い国際的なスポーツイベントの場でこそ輝きを持つメッセージだった。また「つまんではがせる」仕様により、除去の方法を簡潔に案内できる点も、外国人来場者の多い環境では実用的な強みとなった。



VISITOR VOICE — 画材への反応

  • つまんではがせるなんて最高だね!」

  • 早い!」「土にも還る環境製品だなんて最高」

  • 他の配布物はゴミになるけど、これならいいね。」




デザインコンセプト——60秒で世界と繋がる絵柄

イベントにおけるフェイスペイントのデザインは、単なる「絵の好み」で選ぶものではない。来場者一人あたりの施術時間、施術者のスキルレベルのばらつき、写真映えの効果——これらすべてを織り込んだ上でのデザイン設計が求められる。

今回のデザインコンセプトとして掲げられた要件は明確だった。1名60秒以内で完成できること。インストラクターとボランティアの間で技術差が出にくいシンプルさを持つこと。そして写真映えするインパクトがあること——「かわいい」か「かっこいい」かを明確に打ち出すことだった。

実際の絵柄は、各国の国旗カラーを大胆に頬に乗せるベタ塗りスタイルを基本とし、一部ではハート・桜・日本語の文字(「必勝」「風」など)を組み合わせるものも登場した。複雑な造形を排除したシンプルなデザインは、短時間施術と高い再現性を両立させ、ボランティアが自信を持って取り組める設計となっていた。



OPERATION

1,000人のボランティアを動かすオペレーション設計

本プロジェクトの真の挑戦は、専門技術を持たない多数のボランティアを即戦力として現場に立たせることにあった。同社がとった方法はスキーム化——わずか10分程度のレクチャーで、画材の特徴とペイントデザインを把握し、すぐに練習に入れる体系的な研修プログラムの構築だった。

定量目標として設けられたのは「1人50秒」という施術タイム。そして定性目標として「お客様とノリノリで仲良くなること」が掲げられた。技術の標準化と同時に、コミュニケーション能力を最重要要素として位置づけたこの方針は、来場者満足度に直結したと運営側は振り返っている。研修ではボランティア同士が互いに施術し合うロールプレイングも取り入れ、本番前に体験を積む機会が設けられた。

  • 施術レクチャー時間はわずか約10分——画力不問で即戦力化

  • 定量目標「1人50秒」で回転率を管理

  • 定性目標「お客様とノリノリで仲良くなること」

  • ボランティア同士によるロールプレイング練習

  • 試合ごとに導線・オペレーションを継続アップデート

  • 路面への待機時間目安表示など、列管理のきめ細かいケア


開場と同時に大行列ができましたが、最大待機時間で20〜30分程度。回転率の良さから、他のブースへの迷惑となる前に消化することができました。

— 運営レポートより(株式会社プール)


VISITOR VOICE — 運営・スピードへの反応

  • こんなに並んでるのに、◯◯分でできちゃうの!?」

  • 聞いていた時間よりさらに早いなんてすばらしい!」

  • 待機時間がおどろくほど早くて驚いた!」

  • これが無料だなんて最高!」




チームビルディング効果——ボランティア自身への波及

フェイスペイントブースがもたらした効果は、来場者の満足度にとどまらなかった。ボランティアスタッフ自身もまた、フェイスペイントを通じて変化していた。

準備段階から開場時間までの間、ボランティアスタッフがフェイスペイントをして会場に立つことで、コミュニケーションが活発になり、チームとしての一体感が生まれた。外国人来場者と自然に写真を撮り合い、笑顔でやり取りが生まれる——その光景は、同社が掲げた「全員参加のおもてなし」というコンセプトが機能した証左だった。


VOLUNTEER VOICE

  • 「スイッチがONになる!」

  • 「外国人たちが一緒に写真を撮ってくれるのが嬉しい」

  • 「みんなからいいなーって言われて嬉しい」



国際的な反響と今後への示唆

ブースは公式メディアからの取材も受けた。ラグビーワールドカップ組織委員会公式のYouTubeチャンネル「RWC Daily」の決勝ハイプ動画(England v South Africa - FINAL HYPE! | Ep43)にも施術シーンが収録されており、フェイスペイントブースの存在が国際的な発信の一部を担ったことがうかがえる。

来場者からは日本語・英語・各国語での称賛の言葉が届いた。



INTERNATIONAL VOICE

  • こんなにテンポの良いフェイスペイントは初めてだ!」

  • 環境のことまで考えているなんて素晴らしい!」

  • 日本人ってこんなことまでできるんだね!最高だよ!」

  • いいですね!」「Perfect!」「ありがとう!」



このプロジェクトが示したことは複数ある。

第一に、フェイスペイントは専門家だけのものではなく、適切なシステム設計のもとで大規模イベントの「インフラ」となり得ること。


第二に、日本発の素材技術(衛生性・環境配慮・剥離性)が、国際的な文脈でも高い評価を受けること。そして第三に、フェイスペイントには来場者を盛り上げるだけでなく、ボランティアや運営側の「スイッチ」を入れる力があるということだ。



「応援する文化」をレガシーに——その言葉は、15日間で12,000人を超える顔の上に、確かに刻まれたということだ。



情報提供:株式会社POOL







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