フェイスペイントで車を喜ばせる!東京モーターショーで未来を描く
- 3月31日
- 読了時間: 4分

「いつもお世話になっている車を、今回は喜ばせよう。」
2019年の東京モーターショーにおいて、ひときわ異色のコンセプトを掲げたブースがあった。株式会社POOLが運営するフェイス&ボディペイントブランド「ミラクルペイント」だ。オリンピック・パラリンピック等経済界協議会が主体となって運営した「FUTURE EXPO」において、「ニッポンの未来」を表現するレクリエーションコンテンツとして採用され、東京都がスポンサーとなったこのブースは、フェイスペイントと自動車という一見接点のない二つの世界を、「喜ばせる」という感情的なテーマで結びつけた。
車を主役にした、逆転の発想
モーターショーとは本来、メーカーが新技術や新型車を来場者に「見せる」場だ。人が車を評価し、車が人を魅了する——その構図は長年変わっていない。ミラクルペイントブースが提示したのは、その関係性をひっくり返す問いかけだった。
「車はひとを喜ばせてきてくれた。今度はひとが車を喜ばせる番だ。」
車を鑑賞する対象ではなく、気持ちを向ける相手として捉え直すこのコンセプトは、ペイントという行為に全く新しい意味を与えた。描くことは「装飾」ではなく「コミュニケーション」であり、来場者は車に対して能動的に感情を表現する存在へと変わる。
これが「カーペイント」の誕生した瞬間だった。

はがせるから、思い切って喜ばせられる
このコンセプトを成立させた技術的な基盤が、ミラクルペイントの「はがせる」という特性だ。使用画材は日本製のフェイス&ボディペイント専用素材で、肌への安全性に配慮しつつ水を一切使わずに衛生管理できる。指のみで描けるため道具も不要で、除去もシンプルだ。環境素材としての側面も持ち、「水を汚さず土に還る」点はSDGsの観点からも評価されている。
「はがせる」ことは、単なる利便性ではない。失敗を恐れずに描けるということであり、車に対して遠慮なく気持ちをぶつけられるということだ。「はがす体験=失敗するのも楽しい!」というキャッチフレーズが示すように、取り返しのつかない行為ではないからこそ、人は大胆に、そして心から車と向き合えた。

車が「喜ぶ」瞬間を目撃した来場者たち
実際の会場では、子どもから大人まで、日本人も外国人も、思い思いに車体へとペイントを施した。花や動物、メッセージ、国旗——それぞれが車に向けて何かを贈るように描いていく光景は、従来のモーターショーには存在しなかったものだ。
「モーターショーといったいなんの関係が…? おおっ!なるほど!これは楽しい!」という来場者の声は、この逆転のコンセプトが体験を通じてはじめて腑に落ちた瞬間を表している。「これなら車でいろんなことしてみたくなる!」という言葉もまた、車との関係性が変わった証左だろう。
フェイスペイントも同様の文脈で機能した。顔にペイントを施した来場者が会場を歩き回ることで、人と人、人と車の間に自然な対話が生まれた。「こんなに楽しいモーターショーははじめて!」「おでかけしたくなっちゃうね」という声は、ペイントが空間全体の感情的な温度を上げたことを物語っている。

数字が示した共感の大きさ
参加者数は約1.5万人以上(推定)、ガチャ稼働数は会期を通じて4,402個、最大稼働日には1日約1000個を記録した。お土産として手渡された「ミラペガチャ」は体験の記憶を自宅へと持ち帰る仕掛けで、「家でもやってみたい!」「ハロウィンで使ってみました!楽しかった!」というリピーターの声も生んだ。車を喜ばせた体験が、今度は自分たちの日常へと波及していった。
自動車業界の関係者からは、素材としての実用的な関心も示された。「車を喜ばせる」ためのツールが、車産業の側からも本気で検討される素材として認識されたことは、この事例の持つ射程の広さを示している。
他出展社が気づいた「喜ばせる」の波及力
「描いてはがせる」という特性は、ミラクルペイントブース以外にも影響を及ぼした。
会期中、他の出展社から装飾や説明補助への活用を求める声が相次ぎ、「無機質だったのが、楽しくなった!」「わかりやすくなった!」という評価が寄せられた。モノを喜ばせるというアプローチが、展示全体の雰囲気を変える力を持っていたと言える。

「未来のコミュニケーション」としてのフェイスペイント
FUTURE EXPOというイベントのテーマは「未来」だった。ミラクルペイントブースが体現したのは、技術としての未来ではなく、人と物の関係性における未来のかたちだったかもしれない。
車を評価する人から、車を喜ばせる人へ。その小さな視点の転換が、モーターショーという場に全く新しい体験の層を生み出した。フェイスペイントが持つ「人と人をつなぐ力」は、「人とモノをつなぐ力」としても十分に機能することを、この事例は静かに、しかし力強く示した。
運営:株式会社POOL











